我が家の歴史６：三郎の交友関係１（画家：石井柏亭氏）

我が家の歴史シリーズですが、今回は前回とりあげた私の祖父の父である菊地三郎の意外な交友関係について紹介します。

＊上の画像は、石井柏亭氏の「会津の雪」。著書「繪の旅」より。

＊我が家の直系の人物以外はご子孫など関係者の方もいらっしゃると思うのでなるべく敬称をつけてご紹介したいのですが、説明の都合上省略する場合もあります。その点ご了承ください。

私たちが山都に出掛ける時に必ずご挨拶にうかがうのがＯ家です。現在のご当主は山都の歴史にも詳しく、我が家のことについても色んな情報をくださいます。

ある時、Ｏさんからこんなお話を聞きました。「洋画家の石井柏亭（いしいはくてい）氏の本に山都のKという医者のことが書かれているが、（山都で医者でＫ家といえば）菊地さんのことではないか。またその本には、K家に安倍能成（あべよししげ）氏が来たとも書いてある。」と。

その時は、私はまだ実家の歴史にそれほど興味がなくて、あまり真剣に聞いていませんでしたが、こちらで紹介した石碑の件の対応を母からまかされたことから、この話にも興味がわいてきました。

Oさんに本のことをお聞きしたら「繪の旅」という本で、ネットでも読めるとのこと。私も該当箇所を読んでみました。

◆近代デジタルライブラリ「絵の旅　日本内地の巻」山都
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/964300/112
ここには、石井氏が大正８年の夏に山都を訪れた時のことが書かれています。石井氏は「阿賀野川に臨む崖の上の小料理屋」でよく絵を描いていたそうで、そこに絵を描くところを見にきた娘のことを次のように書いています。

山都のＫと云ふ御醫者の娘さんで畫（え）を学びたいと云ふのが私の畫くところを見ようとしてよく此茶屋へ來た。娘さんは年頃にも似合はず極かまはない簡素な風をした口すくなな人であった。

三郎の娘の中で、二女の隆（たか）は日本画が得意で、三女の誠（せい）も絵が上手で後年二科展に入賞したこともあるような人です。また、五女の静枝も女子美術学校の日本画科を卒業しています。

このことについて、誠さんの五女の金元知子さんにたずねたところ、

「母が若い頃柏亭さんの絵を見に行ったかどうかは知りませんが、口数が少なく質素な風は母かも知れませんね。隆おばさんは話上手でしたから。」

とお返事をくださいました。また、そのお手紙の中で、誠さんは結婚したあとも石井氏と交流があり、夫婦で石井氏の絵を見に行ったり、裏磐梯の絵を購入して家に飾っていたこともわかりました。

これらのことから、この本に描かれた「Ｋ家の娘さん」は三女の板橋誠さんの可能性が高まってきました。


http://www.chiba-muse.or.jp/ART/hakutei/15.html
千葉の県立博物館のデジタルライブラリに「裏磐梯の秋」という作品が出ていたので、板橋家（金元さんの実家）のあった絵というのはもしかしてこれでは？と思い、それをプリントして金元さんに送ったのですが、残念ながらこれではないとのことでした。裏磐梯の絵ということですが、どんな絵だったのでしょうね。


「繪の旅」には次のようなことも書かれています。

其御醫者さんの家には其時安倍能成君が來てしばらく泊まっていた。

安倍能成氏はのちに学習院大学の学長をつとめるなどされた方です。調べてみたら確かに山都にいらっしゃっていたようです。この件については、後日報告します。

三郎がどういう経緯で石井氏や安倍氏と交流するようになったのかはわかりませんが、すごい方と関わっていたのだなあとあらためて驚いています。教えてくださったＯさんに感謝しています。当初は食いつきが悪くてごめんなさい（笑）。

＊時間が経ってしまうと、先祖の足跡をたどることはなかなか容易ではありません。山都在住で地元の歴史に詳しいO氏に色々教えていただきながら、私も調べられることを調べています。でもまだまだわからないことだらけです。きっと他にも情報を探している方がいらっしゃるはずと思って、このシリーズと書いています。この記事に関連した情報をお持ちの方はご一報いただければありがたいです。個人情報に関わる内容についてはコメント欄ではなく以下へご連絡ください。どうぞよろしくお願いいたします。